CB750 RC42

さて、今日はまたバイクネタ・・。
ちょっと前なのだけど、2月の半ばにこの3年間で4台目のバイクを買った。あまりの頻繁な無謀買いにバイクショップを経営する友人(http://ikedamotors.com)すら激しく止めたほどだ。
街乗りに最適なMajesty125FIが退屈で仕方ないからなのだけど、やっぱりスクーターに実用品以上のことを求めてはいけなかったのが今更分かったというか、なんで大型免許まで持っててこんな小さなバイクに乗ってるんだオレ・・みたいな当初予想された通りの思考で僅か半年で乗り換えになってしまった。
さて、今度のコンセプトは、まず大型車のカテゴリーの中で、ある程度乗っていて面白い程度のパワーがあり、とり回しが楽で、所有感があり、更にダンデムも快適で、荷物も載せやすいHONDA車で、さらにフルカウルのレーサータイプでないというものだ。はっきり言って国内仕様だとCB1300VFRしかないようなのだけど、VFRはポジションがちょっと低いような気がするのと、実車を見るとちょっと小さい。CB1300はカウルがついたスーパーボルドールがあり、高速も楽そうなあたり非常に魅力的なのだけど、ちょっと高すぎてもったいない。(120万も出すんだったら車買うよなぁ)そういうわけで散々悩んで、最後は試乗もしないどころか実車も見てないCB750(RC42)に決定した。最終的にかなり投げやりな決定だったので注文した実車が届いてから初めて詳細な仕様を知ったほどだ。
さて、CB750というとかつての国産ベストセラーバイクで僕らの世代のバイク好きが若い頃に憧れた車種だが現行型のRC42は、1992年に発売されたもののマイナーチェンジモデルだ。既に発売から14年を経て今なお現行型と言うのもすごいが、エンジンの原型はCBXというから20数年前のものかな・・。
この現行型CB750は、空冷4気筒エンジンにメガホンマフラーの2本出しで、後輪は250CCのホーネットより細く、CB1300のようにインジェクション(電子燃料噴射装置)やABSなどはついているはずもない。おまけに400クラスのバイクにも当たり前のようについている燃料計もついてないのだ。国内他社の仕様まで見るとそうでもないけど、海外メーカーなどと比較すると、なんだかすっかり前時代的な仕様とスタイルのクラシックバイクだという感じがする。
2ヶ月乗っての感想だが、多くのウェブサイトでユーザーが書いている通り、とにかく徹底的に乗りやすく操作性が良い。機能的にも機械的にも長くモデルチェンジしないのを乗って納得させられる完成度がある。分かりやすい特性というか乗り手に優しいと感じるセッティングがある割りに、意外と攻めたような走りもできる。また、軽い乗り味と細身のボディであるので道幅が狭い長崎の田舎国道をキビキビと走ってゆける。それから僕が乗って一番に感じたのは、これはHONDAのバイク全般に言えることだけど、エンジン音が綺麗なのだ。変なメカノイズや耳障りな音がなく、キューンときれいに、そして静かに音が伸びる。これは海外メーカーのまで含め、僕が今まで乗ったどのメーカーのものよりもHONDAのバイクは優れていると思う。それがどう性能や構造と関連があるかは興味もないけど、高い技術と信頼性の証であることは確かだろう。
まあいろいろ書いたけど、自分の所有物を絶賛するのは、なんかありがちだしウェブを検索すればワラワラでて来るので、これくらいにして今度は貶す方向で書いてみる。
そもそも某HONDA専門店で伺った話によると、このRC42の最大の魅力はCBXから受け継がれた伝統のメカニズムであるらしい。確かにカタログにも「全身に伝統が息づくナナハン」とか書いてあった。伝統がすばらしいのだったらCB1300もCB400SFも空冷のキャブ仕様にすればいいと思う。僕は同じ価格帯の同じクラスで選択肢があるのだったら水冷の方がが良いと思うし、信頼性やメンテナンスでキャブよりもインジェクションが良い。またクラスが下の車種には当たり前のようについている燃料計がついていないのも、理解できない。マイナーチェンジでついた電気式メーターとかはどうでもいいから燃料計つけてほしかった。(まさか現行の新車買ったのに未だに距離計見ながら給油時期を気にして走るなんて・・)
あと細かい事だが、3年前に買ったCB400SFはステップの後ろにヒレ状のステップみたいなのがついている。カタログにもその仕様には触れてなかったので、なんだろうと思っていたのだけど、後で知った事によると走行時、ステップにつま先を乗せるポジションを取ったときに踵(かかと)を置く所らしいのだ。バックステップな感じの姿勢が取れるってわけで、長距離乗る場合にも姿勢を変える事で疲れを軽減することも出来る。これはCB400SFのVTEC SPEC2からの仕様で、開発者の細かい心遣いを感じる。だからというわけでないのだが、ある人がそういう足の乗せ方をしているのや、某書に書いてあったのを見たのも手伝って、峠や高速では僕もそのスタイルでステップに足を乗せるようにしてきた。
しかしRC42でその姿勢を取ると、踵はマフラーに接触するのだ。3月に鹿児島へ一人ツーリングした際に、靴底が熱くなってはじめてそれに気づいてちょっとショックを受けてしまった。もうちょっとだけマフラーの取り回しが違ったら当たらないのになあ・・とほほ。あとこのRC42の最大にして最高の不人気ポイントは、そのデザインであろう。
カワサキのゼファー750や、ヤマハのXJRなどもそうだけど、なんで国産のネイキッドはあんな古いデザインなんだろう。別にあのデザインで売れているフシも全くないのになぁ。
結局のところ、HONDAはCB1300を始めとしたの現在のフラグシップに力を入れて、本来日本の道路事情にもベストマッチの750はいい加減になっていると感じる。そりゃちょっとでも高額の高級車種が売れたほうが商売になるし、開発もそっちが重点的になるのもわかるけど、「いいのに乗りたきゃカネ出せやゴルァ!」な気がするし、そうやって買ったバイクが時速300キロ近く出るって言っても、その半分すら使うことがないのだ。
在庫処分だか自動車学校でのニーズの為だか知らないけど、何故か取り残されたような仕様と姿のCB750を売り続けるのに「伝統」なんてマヤカシ言葉を使っているとも感じられてならない。
新型のCB1300に試乗したときに、これ以上の完成形はあり得ないとすら感じた程に、その乗りやすさとパワーに圧倒された。特にギアのレスポンスや、あれだけの車体の操作性と言うのは筆舌に尽くせないものがある。
HONDAの技術と開発成果を持ってすれば、実用上最高の性能を持つコストパフォーマンスの高い750クラスを製造できる筈だし、それはかつて皆が憧れた当時のCB750だったはずだ。