演奏いろいろ・・。

先月から演奏がいろいろ多かったので終わったやつの感想とか書いておく。
日記的なソースは本来は不本意なのだけど、まあたまにはいいか・・。(何も書かないで放置するよりはね・・)

2005/5/20 fri River Side (福岡市)
山野修作(Guitar)デュオ
お店の紹介をすると博多の中洲にある九州でも屈指の老舗ライブハウス。現在のマスターになってから数回ピアノとのデュオをさせてもらった。
さて、相方であるギターの山野修作とはもう長い付き合いで現在東京で大活躍のベーシスト山村隆一氏を加えたトリオを始め、僕のエレクトリックバンドなど思い出に残るたくさんの演奏をしてきた仲間だ。近年自己のリーダーアルバムをリリースするなど福岡の中堅ミュージシャンとして第一線で活躍している他、若手の育成にも力を尽くしている実力派である。春頃に久しぶりにデュオのライブをやったら思いのほか面白かったので同じ演出でもう一回やろうという事で実現したライブなのだが、前回以上に難曲揃いの選曲になってしまって苦労をかけてしまった。だが彼はいつもニコニコ笑いながら難なく弾いてくれるので流石なのだ。あとライブに6月にご一緒させてもらうジャズボーカリストの中村友美さんが来てくれたのも嬉しかった。

2005/5/27 fri Body II Soul (長崎市
2005/5/28 sat Heart Break (大村市
田口悌治:Guitar
丹羽肇:Wood Bass
桜井ゆみ:Vocal ※ゲスト

旧友で人気ベーシストの丹羽肇から久しぶりに一緒にやろうという話があって、実現した2本。

先にメンバーの紹介を・・。

前作のアルバム「Out of the line」が非常に話題になってジャズライフ誌に取り上げられるなど破竹の勢いで活動の幅を広げておられるギタリスト田口悌治さんは随分前のブログにもちょっと書いたのだけど、楽器は違えど師匠のような人だ。
技術的にもその評価もジャズギタリストとして国内トップグループのベテランであることは疑いない氏なのだが演奏に取り組むスタンスや、日常の演奏活動におけるアクティブかつポジティブな姿勢などは、あたかも若手ミュージシャンのようですらあり技術と表現力はひたむきな努力と、音楽を愛する純粋な精神力に宿るということを思い知らされる。
プレイヤーで無いリスナーの方は難曲の数々を涼しげに弾き回す田口悌治氏を聴いても、そこに至る膨大な努力を感じることはあまり無いだろう(そういう匂いを全くさせない所も氏のすばらしいところなのだ)しかしジャズ奏者のはしくれである僕は、田口悌治氏との関わりが、少なくともそういったものもいくらかは感じることが出来る距離である。僕はそのことについて本当に幸せを感じる。

ウッドベースの丹羽肇は同郷であり中学のときからの顔見知りだ。高校までは吹奏楽でチューバを吹き、大学では名門の学生オケでトロンボーンを吹き幹事長までやった。ここまでも学生の奏者としてはセミプロ的な活躍をするほどに高い評価を受けていたのだが、何故かいきなりジャズに転向し、更に楽器もエレキベースウッドベースと変遷しウッドベースを始めて何年も経ないうちにNHKビックバンドコンテストでベストプレイヤーを受賞する。
現在、九州在住のプロベーシストとしては実力・実績ともに最も高い評価をうけている1人だ。友人である僕は彼の音楽における天性のような部分についてかなり前から感じていたけど、何より増して彼は楽器やジャンルへの執着以上に音楽そのものが好きであると思う。そして実はそれが最も重要な演奏技術の素質であると感じる。

最後にゲスト参加して頂いたジャズボーカリストの桜井ゆみさんは、長崎出身で初期の活動のフィールドが同じであったのでもう10年ほど前には名前は存じ上げてた。元々はポップス系(?)だったように思うが、現在女性コーラスグループ「トライヴォイセス」で人気を博しており大規模な音楽イベントなど精力的に活躍中だ。良い意味でジャズ臭ささが強くなく、しかし表現力と歌唱力は疑いなく実力派である。また演奏における即興性は正に正統派ジャズシンガーであるという、いろんな色彩の魅力を持つボーカリストだ。
僕は自分のグループでも積極的に女性ボーカルと共演するのだけど、演奏において彼女はフロントラインのボーカルでなく我々と同じインストルメンタルだという印象がある。もちろんそういう技量と感覚をもったボーカリストは多くないし、そういうステージは本当に楽しい。

さて、演奏は言うまでもなく面白く、いろんな意味で印象深かった。
僕が生活の主体を完全にコンピュータにシフトしてからは田口、丹羽両氏との演奏は無かった(というか出来なかった)事もあり、この久しぶりの演奏を迎えるまでに思い入れも深かった。こういうやや過剰な緊張感で迎える演奏は経験的にうまくいかないことが多いのだが、結果的にはかなり気持ちよく難しい内容を消化できたと思う。
それは2日間で3本という過密な内容を通してメンバー各位が「楽しむステージ」というコンセプトを貫いてくれた事に他ならないし、そのスタイルが彼らの暗黙のルールになっているからこそ高い次元でのセッションを可能にしているのだと改めて感じた。

ともかくこういう気持ちの良い演奏が出来る機会が時々あるからジャズは止められないんだよな。

2005/6/3 fri カフェ・ラ・クルール (熊本市
山野修作:Guitar
ヒノ:Wood Bass

前述の丹羽肇の門下であるベース奏者「ヒノ」のブッキングによる熊本遠征。今回もギターの山野修作が付き合ってくれた。「カフェ・ラ・クルール」は熊本大学の学生のみによって運営されているお店で当然お客さんも大学生がメインだ。
久しぶりの熊本をベースの「ヒノ」の運転で行くことになって運転はしなくて良い上に、道中フェリーにも乗る、その上そこそこ良いホテルが安く取れたので殆ど慰安旅行状態だったが、例によって体調不良でリハーサルのときから青い顔して吹いてしまった。しかもこういうときに限ってやはり難曲+速い曲揃いで、もー1週間分くらいトロンボーンのスライド動かした感じだった。演奏そのものは気持ちよくやれたので吉。
こういう時の常でライブ終了後に学生とのセッションがあって、熊本大学の学生ジャズトロンボーン奏者などとも共演してしまった。旅をして人との出会いがあるってだけでも、楽器をやっていてよかったな・・とおもう。
※写真はカフェ・ラ・クルールで無理矢理オーダーして作ってもらった「しずかちゃんスペシャルドリンク」