HONDA CB1300 super four

本業がIT系システム屋なのに最近すっかりバンドマンモードのブログになってきた。このブログは「今日はこんな事したよぉ〜♪」みたいな日記系ではなく、多少なりともネットの情報資源に貢献するようなソースを目指しているので今度こそはコンピュータ系の記事を書こうと思ったけど、ちょっとネタも思いつかないのでバイクネタ第2弾でいくことにする。

東京や福岡に居るときには考えもしなかったが、長崎に住むようになって久しくなると、なんだか生活に刺激が足りないような気がして悶々としていた。そんなある日、突然「バイクに乗ったらいいかも!」と思いついてしまった。何故だか説明が難しいけど仕事が中心の日常における移動をスポーツバイクに乗るようなライフスタイルが、生活をアクティブにすると言った希望的観測からだ。
そういう訳で、高校卒業以来疎遠になっていた地元でバイク屋を営む親友のもとを訪れたのはバイクの最も売れないだろう冬の寒い日だった。
池田モータース http://ikedamotors.com/
友人の「その歳でおまけに家庭持ちで今からスポーツバイクに乗ろうなんて馬鹿としか思えんからスクーターにしとけ」というバイク屋らしからぬ有り難い助言に耳を貸さず中型二輪で最も凶悪な走りのバイクをくれという無謀なオーダーを出し、勧められたHONDA CB400SuperFourを新車で購入する。それから半年は福岡への行き来を含めて豪雨だろうが雪だろうが連日乗り続けて半年で1万キロ乗るに至ったが、いよいよ欲も出てさっさと大型二輪を取得し、高速道路におけるビックバイクの安全性を語る事で家内を無理矢理納得させステップアップで99年式のCB1300SuperFour(以下CB1300SFと記す)を買った。
バイクに乗るだけでバイクマニアではない僕でもHONDAが国内トップシェアのバイクメーカーであること位は知っている。車で言えばトヨタみたいなイメージだろう。そんなHONDAがより良いスポーツバイクのあり方を求め起こした開発プロジェクトが「プロジェクトビッグワン」であり92年に開発成果の頂点として鳴り物入りで登場したのがCB1000SuperFour(通称Big1)なのであるが、99年のCB1300SFというのは、そのフルモデルチェンジしたものであるらしい。2003年にはそれが更にフルモデルチェンジし加えて今年のマイナーチェンジを経て同名のCB1300SFとして現在も販売が続けられており同クラスのネイキッドバイクでは他社製の追従を許さないヒットモデルとなっている。
トップメーカーが作るフラグシップモデルと言えば、自動車で言えばトヨタカローラマークXなどを思い浮かべる、それは万人向けに乗りやすく全てにおいてソツが無い作りと言ったものを連想させる。しかしこのCB1300SFというバイクは、普通に考えられるようなそれらの製造セオリーと全く違ったところに主眼がおかれているようだ。98年の発売時からマイナーチェンジを入れると4回もモデルが変更されており、下表で比較している通り現在のモデルは多くの点で改善されているが僕の99年式で考えると、どう考えても決して万人向けとは言い難い。まず重量が275キロあり非常に重いため「小回りの効く軽い取り回し」といった自転車から自動車なんかでもよく使われる宣伝コピーのような乗りやすさの最大要素からは程遠い、輸入車を含め同クラスの二輪車は250キロ前後のものが主流なのでスペックの上ではたった1割足らずの重量増に見えるが跨がってみると重量バランスが意外と上にありそれ以上の重さを感じるのだ。また足付きに関してもスペック上のシート高は790ミリで同クラスにおいては普通に見えるが、幅が非常に広いため身長172センチの僕の体格でやっと両足つま先立ちという感じだ。(現行型ではシート高は同じであるが幅がかなり狭められており足付き性は大幅に改善されている)国産の下位モデルでは当たり前のヘルメットホルダーはおろか荷掛けフックもついていなく(これも現行型では改善済)、露出部分の多くに鉄製のメッキ部品を使用しているため錆び易いという点もBMWなどの同クラスのバイクに比べて安っぽい。何だか否定的な事ばかり書いているが、僕はこういったデメリットの点を含めてこのバイクを非常に気に入っている。いやむしろだからこそ良いとすら言えるのだ。
確実に言える事は、このバイクが大衆志向の市場性を優先して開発されたものではなく、公道を走れる乗り物の中で最も速く機動性に富んだ大型スポーツバイクを乗りたいと考える人間のための嗜好性と要求を正確に突いているという事だ。
中型のバイクなら当たり前のようにやっているスタート時にフルスロットルにすることが殆ど不可能なほどパワフルで、まるでジェット旅客機の離陸時に感じるような加速感がありながら巡航時には低回転でのトルクのお陰でスピードを感じさせない安定性がある。また取り回し時にネックに感じる重量は、高速巡航時やコーナーリングでは驚くべき安定性に変わるのだ。書けばきりがないので避けるが、自動車やオートバイに限らず近年は市場性を優先させるべき商品開発が主流(というか当たり前)なので嗜好性に訴えるオーバースペックでクセのある製品というのは本当に珍しいと思う。昔の国産スポーツカーやオーディオ機器はそういうのがもっと沢山あったような気がするのだ。最近目についた良い例が国産スポーツカーの代名詞であるMAZDARX-7だ。去年だかにモデルチェンジしてRX-8になったのを見に行ったらナント4ドアになっていた。座ってみたらポジションも操作性もまるで女性が家族を乗せて走るのを想定しているかのように優しくなっていた。某マンガで高橋兄弟が秋名山の峠をドリフトしつつ激走する凶悪マシンの見る影も無い。ディーラーの方にお尋ねしたら案の定RX-7のオーナーには不評で、乗り換える人は殆ど居ないらしい。
CB1300SFもそういった例にもれずにかモデルチェンジ毎に小型化し乗り易くなっているようだ。特に僕のと最新型を比較すると重量をはじめ全長、全幅、全高、そしてタイヤサイズまで小型化していて外装のデザインもシャープになっているのを併せると遠目に見て400ccと見間違う事が多いほどに小さくなった。
大きくて重く、乗り手を選ぶような部分もあるからこそ乗りこなす達成感もあるのだが、そういう考えは古いのかな・・、メーカーも売れないと仕方ないしね。


 主なスペックの比較
| 諸 元 | 現行2005年型(SC54) | 1999年型(SC40) |
|全長・幅・高 | 2.200×0.780×1.165 | 2.220×0.790×1.120 |
|軸距 | 1.515 | 1.545 |
|シート高 | 0.790 | 0.790 |
|車両重量 | 254 | 275 | 
|燃料消費率(km/L) | 25.0 | 21.6 |※60km/h定地走行テスト値
|最高出力(PS/rpm) | 100/7,000 | 100/7,500 |
|最大トルク(kg・m/rpm) | 11.9/5,500 | 12.2/5,000 |
|タイヤサイズ前 | 120/70ZR 17M/C(58W) | 130/70 ZR17(62W) |
|タイヤサイズ後 | 180/55ZR 17M/C(73W) | 190/60 ZR17(78W) |
|燃料供給 | 電子制御燃料噴射式  | キャブレター |

HONDA CB1300 Super Four 1999MODEL (SC40)

HONDA CB1300 Super Four 2005MODEL (SC54)