Moto Guzzi Breva V750

3日間の演奏行脚を終えて長崎に戻る道中、ライブイベントで何度もお世話になった筑紫野市の「Milwaukee」に立ち寄ったら、すぐ隣にあるバイクウェアショップ「マックスフリッツ福岡店」にてイタリアンバイクMOTO GUZZIの試乗会をやっていた。思いがけない巡り合わせだったが何事も経験と自分に言い聞かせてややビビリ気味で乱入する。試乗会はMoto Guzziの正規ディーラーである春日市の「ラバーズモータサイクル」によるもので、小雨の中であるにも関わらずひっきりなしに大型バイクに乗ったビジターが訪れている。

イタリア製のバイクなんて考えたことも無く、そもそもおっきいバイクに乗ってはいるが、バイクそのものに関しては無知な僕からすれば、試乗会に群がる人たちはオカネモチ+バイクのウンチクを一晩中語れるマニアに見えてしまい、全く正反対の僕はやっぱし気後れしてしまう。しかし会場を仕切っていた国内代理店「Fukuda Motors」のスタッフの方は、そういう場違いな貧乏ラッパ吹きの僕にも本当に丁寧に説明してくれた。

さて展示車は4台。市販レーサー「MGS-01 Corsa」はもちろん試乗できないが、跨ってエンジンを掛ける程度は出来るようだ。もちろん触って壊れたら恐ろしいので半径5メートル以内には近寄らないことにする。試乗車は1100ccの「Coppa Italia」と「Nero Corsa」、あと750ccの「Breva V750 ie」。先にいかにもイタリアンなカラーリングの「Coppa Italia」に跨ってみる。大きな車体の割にはあまりにも軽く感じられ、ハンドル位置も意外に低くないから長時間乗っても楽そうだ。っていうか普段乗ってる「HONDA CB1300SF」が重過ぎるんだろうな・・。そう思って立ち会って下さったFukuda MotorsのT氏に重量を尋ねたら250キロとの事なのでCBとあんましかわらない、部品の配置とバランスがいいんだろうなぁ。次に最も気になった「Breva V750」を見てみる。国産バイク独自の排気量規格だと思っていた750ccがMoto Guzziのラインナップにあるというのがちょっと驚きだったが、シンプルで乗りやすそうなネイキッドでデザインが本当にシャープでかっこいい。スペックは空冷OHV2バルブ縦置きV型2気筒で最高出力は48ps/6,800rpmだからHONDAのCB400SFよりちょっと弱いくらいかな。

最近、町乗りとか普段の足としてのバイクの排気量は750が最適じゃないだろうかと考え始めてCB750なんかが気になったりしてたし、ここは迷わず「Breva V750」に試乗させてもらうことにした。今回は公道での試乗で適当な時間好きなところを自由に走ってきて良いという事だし、ここは鳥栖筑紫野有料道路や3号線バイパスなど見通しが良く通行量もそれほど多くない道路に挟まれた立地だ、主催者さんの嬉しい配慮を感じつつ簡単な申込書の記入と免許証の提示だけで、ヘルメットとグローブまで貸して頂いて早速乗ってみた。
ウインカーやセルスイッチ、キルスイッチなど操作系の配置は国産車と同じで不安は無い。但しニュートラルから1速へギアを入れるとき、ちょっとクセがあってニュートラルランプが消えてもきちんと入っていない事が多いとの説明を受けたが、発進するときその通りになった。そういう場合は半クラッチで入れなおすと良いらしい、もっとも通常のギアチェンジはスムーズで問題は無いようだ。運転していると普段乗っているバイクが大きいせいか非常に小さく感じる、感触的にはCB750より小さく感じハンドルとシートの位置関係はCB400SFに近いように感じられた。もちろんこれは一般的な体型の日本人が乗る場合には最適なサイズだと思うし、それほど小柄でなければ女性でも十分に乗れるだろう。V型エンジンで同程度の排気量ならBMWのF650GSを借りて乗った事があるが、F650よりは低速トルクがあって回転をあげる事無く快適に乗っていけるような気がする。フロントブレーキはシングルディスクだが軽い車重とブレーキそのものの性能のせいか必要十分で初めて乗っているのにも関わらず、思った通りのブレーキングになる。また最近のバイクにしては細めのタイヤも軽い乗り心地と旋回性にジャストマッチしているように思われた。ただし、やはり48馬力のエンジンはちょっと力不足を感じる部分もあって国産の直列4気筒エンジンに慣れていると物足りないと思った。間違いなく加速や伸びに関しては、HYPER VTECがついてなくてもCB400SFの方が速いだろう。
もちろんこういう性能面でのみバイクの良さを比較するのは愚かだろうし、V750はスタイル、秀逸で乗り手を選ばない操作性といった意味で良いバイクだと感じた。国産のバイクはラインナップが以前に比べて少なくなっており選択肢も少ない分、特にこれらのバイクに魅力を感じる。正直に言えばこのスタイリングでHONDAの直4エンジンが乗ってれば買いたいな・・。いやいやこういう事を書くとMoto Guzziフリークの方から非難されるだけでなく自分のバイクに関する無知、無節操ぶりが露呈するなぁ。っていうかHONDAのバイクのデザインってもうちょっと何とかならんのかな〜。